司法書士の仕事のご紹介

司法書士は、権利を守り、公正な社会を実現するために働く法律の専門家です。

    司法書士は、「市民に身近な街の法律家」「くらしの法律家」などと呼ばれることがあります。
 
    しかし、これまで司法書士を身近に感 じることが少なく、「司法書士」と言われても、「何をする人か分からない」「どんなことを相談できるのか分からない」という方もいらっしゃると思います。
 
    そこで簡単に、司法書士の仕事をご紹介したいと思います。



司法書士の使命

    どのような職業にも、その職業を通して実現しようとしていること、言い換えれば、その職業特有の「使命」があると思います。

 
    司法書士は、「国民の権利の擁護と公正な社会の実現」を使命とする職業です。


    司法書士の業務は幅広いですが、どの業務内容も、「財産と権利を守る」「公正な社会を実現する」ことに関係しています。


司法書士の業務 

    司法書士は、次の4つを主な業務としています。

①登記手続の代理

 ◇
大切な財産である不動産の権利を守ります
 ◇
会社の信用維持と取引の安全を支えます

 ② 裁判所などに提出する書類の作成
     
  ◇
裁判所に提出する書類作成を代行します。
  ◇訴訟書類を作成し、訴訟をする本人を支援します。

  ③簡易裁判所における民事訴訟手続の代理 
(紛争の目的である価額が140万円を超えないものに限ります)

  ◇依頼者に代わって、法廷で弁論したり、和解の交渉をしたりします。

  ④成年後見人や遺言執行者などの業務

   ◇
認知症などで判断能力が低下した方の権利と財産を守ります。
   ◇遺言の執行や相続財産の管理などの業務をします。



    
 

司法書士は、登記手続を代理し、「権利の保全」や「取引の安全」を支えます



①登記手続の代理

 

    不動産や会社・法人に関する情報は、「登記簿」と呼ばれる公の帳簿に記録されています。
    (現在の登記簿はコンピュータ化され、紙の帳簿は作られていませんが、コンピュータ化される前の紙の登記簿も残っています)

    登記簿は、誰でも見ることができ、不動産の権利関係の状況や会社に関する情報が、誰にでも分かるようになっています。

    
    不動産の売買や相続、担保の設定や抹消などによって不動産の権利関係が変動したとき、あるいは、会社を設立したり、役員を変更するなど法律で定められた会社の登記事項に変更が生じたとき、その変更を「登記」して、登記簿に最新の状態を記録する必要があります。
(不動産登記は任意ですが、会社の登記は義務で登記を怠ると過料の制裁があります)

    なぜ、このような登記が必要なのでしょうか。

    不動産に関する登記には、「不動産の権利関係を明確にする」「不動産取引を安全にする」「紛争を予防する」「不動産を権利の侵害から守る」という目的があります。
    また、会社に関する登記には、「会社の信用を維持する」「安心して会社と取引できるようにする」という目的があります。

   司法書士は、依頼を受けて、登記申請を代理することができます。申請だけでなく、登記に必要な書類の作成も行います。

    登記手続は本人がすることもできますが、多くの方が登記申請を司法書士に依頼するのは、「これらの書類で間違いなく望んだとおりの登記ができるか」「契約書(議事録)に法律的な問題点はないか」という判断をするには、登記や法律に関する専門知識が必要になるためです。

    司法書士は、登記手続の専門家として、間違いのない登記をすることによって、「権利の保全」「取引の安全」といった社会目的に寄与しています。


登記申請だけでなく、こんな仕事もしています。    

    司法書士は、不動産の売買の際、代金決済の場に立ち会い、契約書や登記に必要な書類を確認し、「間違いなく望んだとおりの登記ができるので代金の振込や融資をしてもらって大丈夫ですよ」というゴーサインを出す仕事もしています。

    また、会社が事業をしていると、法律的な問題に直面することがあります。司法書士は、そんなときに、中小企業の法務アドバイザーとして、助言や問題の解決のサポートをしています。
    
 

司法書士は、裁判書類作成を通して、暮らしの中で生じる裁判所への申立手続をサポートします。

②裁判所などに提出する書類の作成

    司法書士は、依頼を受けて、裁判所に提出する書類を作成すること
ができます。

    ふだんは裁判所に縁遠い方も、相続放棄をしたいとき、遺言書の検認をしてもらいたいとき、離婚の調停をしたいとき、認知症のご本人のために成年後見人等の選任してもらいたいときなど、裁判所に申立書などの書類を提出しなければならない機会が訪れることがあります。

    ふだん法律や裁判所に縁がない方ほど、不慣れな書類作成に、時間がかかったり、不安を感じることもあるかと思います。
    このようなときに、司法書士が書類作成を代行することにより迅速な申立手続きをサポートし、不安を取り除くことができます。

    また、司法書士は、地方裁判所に提出する自己破産の申立書の作成代理などを通して、借金の返済が困難になった方の生活再建の支援もしています。


司法書士は、訴訟書類作成を通して、訴訟をする本人を側面からバックアップします。

     「裁判を起こしたい」「裁判を起こされた」というときも、司法書士は、訴状、答弁書、準備書面などの訴訟書類の作成を行うことができます。

    「裁判」と聞いて、弁護士を思い浮かべる方も多いと思いますが、日常の小さな生活紛争では、弁護士が選任されている事件の方がむしろ少なく、弁護士を立てずに本人自身で訴訟をする「本人訴訟」が頻繁に行われています。

    しかし、法律の素人である方がたった一人で訴訟を起こすとなると大変なことも多く、また、「本人訴訟」では法律知識が不足しているが故に不利益を受ける危険もあります。


    そこで、法律の専門家である司法書士が、本人の話を聴いたうえで、法的に考え得る選択肢やそれぞれのメリット・デメリットなどを説明し、その中からよいと思うものを本人が選択・決定し、そうして決定された内容を司法書士が法的な書面にまとめる、というスタイルがとられることがあります。

このスタイルが、司法書士が長年行ってきた「司法書士による本人訴訟支援」です。

    法廷に出頭し意見を陳述したりするのはあくまで本人ですが、司法書士は、本人に寄り添いながら、訴訟書類作成を通して、訴訟をする本人を側面からバックアップします。

(弁護士に依頼した場合との違いは、弁護士に依頼した場合、①弁護士が法廷で意見を陳述してくれるので、必ずしも本人が法廷に出頭する必要がないこと ②考え得る選択肢の中でどれがよいかの判断まで弁護士に任せることができること、の2点があげられます)



司法書士は、簡易裁判所における少額の訴訟で、訴訟代理人として弁護士と同じ役割を担います

③簡易裁判所における民事訴訟手続きの代理(紛争の目的の価額が140万円を超えないものに限ります)

 
    平成15年4月より、法務大臣の認定をうけた司法書士は、簡易裁判所における訴訟の代理などの業務ができるようになりました。
 
    簡易裁判所は、請求金額が140万円以下の事件を簡易・迅速に処理するために設けられたもっとも身近な裁判所です。
 
    簡易裁判所が管轄裁判所となる民事に関する訴訟で、訴訟の目的の価額が140万円を超えないものであれば、司法書士は、訴訟代理人として、弁護士と同様に、ご本人に代わって法廷で弁論したり、証人尋問などの訴訟活動をすることができます。
 
    また、簡易裁判所には、訴訟の他にも、和解調停などの紛争を解決する手続きが設けられていますが、上記の要件を満たす紛争であれば、司法書士は、代理人として調停や和解をすることができます。
 
 
    民事上の紛争を裁判外で解決する裁判外の和解(いわゆる「示談」)についても、簡易裁判所の訴訟手続の対象となる事件で、紛争の目的の価額が140万円を超えないものであれば、司法書士は、裁判外で相手方と和解交渉することができます。

    民事に関する紛争は、「貸したお金を返してもらえない」「家賃を払ってもらえない」「悪徳商法の被害にあったので契約を取り消したい」「近隣住民の迷惑行為をやめさせたい」「不法行為(交通事故・名誉棄損・婚約破棄等)の損害賠償を請求したい」といった日常の生活紛争が対象となります。
 
    司法書士は、裁判書類の作成や簡易裁判所における訴訟代理等の業務を通して、日常の生活紛争の解決をサポートしています。


 

司法書士は、成年後見人として、認知症の方などの「権利と財産」を守り、「その人らしい暮らし」を支えます

④成年後見人などの業務

    私たちの日々の暮らしは、「契約」(法律行為)によって成り立っ
ています。買い物をしたり、家を借りたり、サービスを利用したり、診療を受けたり 、私たちは日々、さまざまな契約を締結しながら生活しています。

    しかし、認知症や知的障害などによって判断能力が十分でないご本人が、医療や介護、重要な財産に関する複雑な契約内容を理解し、妥当性を判断するのは困難です。
    心の中で「こうしたい」という思いがあっても、その意思をうまく伝えることが難しい場合もあります。
   
    そこで、こうした判断能力が十分でない方を支援するために創設されたのが成年後見制度です。

    成年後見制度とは、認知症や知的障害・精神障害によって判断能力が十分でないご本人について、家庭裁判所によって選任された成年後見人等が、ご本人に代わって財産の管理介護・医療などに関する契約を締結したりすることによって、ご本人の権利と財産を守り、ご本人が地域の中で「その人らしい暮らし」ができるように支える制度です。

 
    成年後見人は、ご本人が基本的人権や財産権を侵害されたり、十分な医療や介護を受けられないといったことがないように、ご本人に代わって、介護や医療、その他のご本人の生活や療養看護に必要な契約を締結し、ご本人が生活を維持できるように計画的に財産を管理します。ご本人が悪徳商法の被害にあっている場合などには、契約を取り消すこともできます。

    成年後見人は、ご本人の「声なき声」を代弁し、「権利擁護の担い手」となります。 

    司法書士は、成年後見制度発足当初から、成年後見業務において主導的な役割を果たしてきました。

    司法書士は、ご本人の親族等から依頼をうけて、家庭裁判所に提出する後見開始申立書を作成するなど後見申立手続をサポートするほか、成年後見人等に就任し、成年後見人として働いています。

    成年後見人には、ご本人の親族が就任する場合と、弁護士・司法書士・社会福祉士などの専門職が 就任する場合(「専門職後見人」といいます)がありますが、専門職後見人には司法書士がもっとも多く選任されています。